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第4部分(第1/4 页)

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弟子たちは、絶えず師匠の怪しげな振舞に茫�à�婴洌─�丹欷皮黏吭Uでございます。が、その冬の末に良秀は何か屏風の画で、自由にならない事が出来たのでございませう、それまでよりは、一層容子も陰気になり、物云ひも目に見えて、荒々しくなつて参りました。と同時に又屏風の画も、下画が八分通り出来上つた儘、更に捗(はか)どる模様はございません。いや、どうかすると今までに描いた所さへ、塗り消してもしまひ兼ねない気色なのでございます。

その癖、屏風の何が自由にならないのだか、それは誰にもわかりません。又、誰もわからうとしたものもございますまい。前のいろ/\な出来事に懲りてゐる弟子たちは、まるで虎狼と一つ檻(をり)にでもゐるやうな心もちで、その後師匠の身のまはりへは、成る可く近づかない算段をして居りましたから。

十二

従つてその間の事に就いては、別に取り立てゝ申し上げる程の御話もございません。もし強ひて申し上げると致しましたら、それはあの強情な老爺(おやぢ)が、何故(なぜ)か妙に涙脆(もろ)くなつて、人のゐない所では時々独りで泣いてゐたと云ふ御話位なものでございませう。殊に或日、何かの用で弟子の一人が、庭先へ参りました時なぞは廊下に立つてぼんやり春の近い空を眺めてゐる師匠の眼が、涙で一ぱいになつてゐたさうでございます。弟子はそれを見ますと、反つてこちらが恥しいやうな気がしたので、黙つてこそ/\引き返したと申す事でございますが、五趣生死(ごしゆしやうじ)の図を描く為には、道ばたの屍骸さへ写したと云ふ、傲慢なあの男が、屏風の画が思ふやうに描けない位の事で、子供らしく泣き出すなどと申すのは、随分異なものでございませんか。

所が一方良秀がこのやうに、まるで正気の人間とは思はれない程夢中になつて、屏風の剑�蛎瑜い凭婴辘蓼怪肖恕⒂忠环饯扦悉ⅳ文铯�⒑喂胜�坤螅�軞蒴dになつて、私どもにさへ涙を堪へてゐる容子が、眼に立つて参りました。それが元来愁顔(うれひがほ)の、色の白い、つゝましやかな女だけに、かうなると何だか睫毛(まつげ)が重くなつて、眼のまはりに隈(くま)がかゝつたやうな、余計寂しい気が致すのでございます。初はやれ父思ひのせゐだの、やれ恋煩ひをしてゐるからだの、いろ/\臆測を致したものがございますが、中頃から、なにあれは大殿様が御意に従はせようとしていらつしやるのだと云ふ評判が立ち始めて、夫(それ)からは誰も忘れた様に、ぱつたりあの娘の噂をしなくなつて了ひました。

丁度その頃の事でございませう。或夜、更(かう)が闌(た)けてから、私が独り御廊下を通りかゝりますと、あの猿の良秀がいきなりどこからか飛んで参りまして、私の袴の裾を頻りにひつぱるのでございます、確、もう梅の匂でも致しさうな、うすい月の光のさしてゐる、暖い夜でございましたが、其明りですかして見ますと、猿はまつ白な歯をむき出しながら、鼻の先へ皺をよせて、気が摺�悉胜い肖�辘摔堡咯fましく啼き立てゝゐるではございませんか。私は気味の悪いのが三分と、新しい袴をひつぱられる腹立たしさが七分とで、最初は猿を蹴放して、その儘通りすぎようかとも思ひましたが、又思ひ返して見ますと、前にこの猿を折檻して、若殿様の御不興を受けた侍(さむらひ)の例もございます。それに猿の振舞が、どうも唯事とは思はれません。そこでとう/\私も思ひ切つて、そのひつぱる方へ五六間歩くともなく歩いて参りました。

すると御廊下が一曲り曲つて、夜目にもうす白い御池の水が枝ぶ

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